アロハシャツの年代を判別するには、ブランドタグ、品質表示、素材、縫製、ボタン、襟、柄などを総合的に確認する必要があります。
一つの特徴だけで製造年代を断定することはできません。
レーヨン生地やココナッツボタン、和柄、横向きのボタンホールなどは古いアロハシャツにも見られますが、現代の復刻品にも採用されているためです。
年代を調べる際は、最初にブランドやタグから年代の候補を絞り込み、その後に素材や縫製などのディテールに矛盾がないか確認するのが基本です。
アロハシャツの年代判別で重要な考え方
一つの特徴だけで年代を断定しない
アロハシャツの年代判別では、複数の特徴が同じ年代を示しているかを確認することが重要です。
例えば、レーヨン100%でココナッツ風のボタンが付いているからといって、1950年代のアロハシャツとは限りません。
現代のブランドも、ヴィンテージアロハを再現するために古い素材感やディテールを取り入れています。
年代を判断するときは、次の項目を組み合わせます。
・ブランドタグのデザイン
・会社名や所在地
・原産国表示
・品質表示や洗濯表示
・素材の種類
・ボタンの素材と形状
・襟や裾の形
・ポケットや前身頃の柄合わせ
・縫い代やステッチの処理
・ブランドの公式資料や古い広告
複数の情報が一致した場合に、初めて年代の推定精度が高まります。
製造年ではなく年代の幅で考える
アロハシャツには、製造年月日が記載されていないものがほとんどです。
そのため、「1953年製」のように一点の年を特定できるケースは多くありません。
実際には、次のように幅を持たせて判断します。
・1940年代後半から1950年代前半
・1950年代後半から1960年代前半
・1960年代後半から1970年代
・1980年代から1990年代
製造年を無理に断定するよりも、確認できる証拠の範囲内で年代を絞り込むほうが正確です。
最初にブランドタグを確認する
ブランド名とロゴのデザインを見る
年代判別で最初に確認したいのが、首元に付いているブランドタグです。
同じブランドでも、年代によってロゴの書体やタグの色、会社名、所在地などが変更されていることがあります。
確認する項目は次のとおりです。
・ブランド名の表記
・ロゴの書体
・背景色や縁取り
・会社名
・所在地
・HONOLULUやHAWAIIの表記
・商標記号
・素材表記
・サイズ表記
ブランドごとのタグの変遷が分かれば、製造時期を大きく絞り込める場合があります。
ただし、織りタグだから古い、プリントタグだから新しいとは限りません。
織りタグは現代のアロハシャツにも使われており、古い商品にもプリントタグが存在します。
重要なのは、タグの製法よりも、そのブランドがどの時期にそのデザインを使用していたかです。
旧ロゴを使った復刻品に注意する
現代の復刻アロハシャツでは、過去のブランドタグやロゴを忠実に再現していることがあります。
タグだけを見ると、1950年代や1960年代の商品に見える場合があります。
復刻品かどうかを確認するときは、首元のタグだけでなく、脇や裾付近に付いている品質表示タグも確認します。
次のような表示があれば、比較的新しい商品である可能性が高くなります。
・日本語の品質表示
・現代の会社名や住所
・ウェブサイトのアドレス
・商品番号
・バーコード
・複数言語の洗濯表示
・復刻シリーズ名
・コピーライト表記
旧ロゴが使われていても、これらの表示があれば当時のオリジナル品ではない可能性があります。
原産国や生産地の表記を確認する
Made in Hawaiiの意味を正しく理解する
タグに「Made in Hawaii」や「Made in Honolulu」と記載されている場合は、ハワイで製造された可能性を示します。
ただし、この表記は年代を示すものではありません。
現在でもハワイでアロハシャツは製造されています。
そのため、「Made in Hawaiiだからヴィンテージ」と判断することはできません。
生産地の情報は、ブランドの製造履歴と組み合わせて使います。
例えば、特定のブランドがある時期までハワイで生産し、その後海外生産へ移行している場合は、原産国表記から年代の候補を絞れることがあります。
Designed in Hawaiiとの違いに注意する
「Designed in Hawaii」や「Hawaiian Original」といった表記は、必ずしもハワイ製を意味しません。
「Designed in Hawaii」は、デザインのみハワイで行われ、縫製は別の国で行われている可能性があります。
生産地を確認するときは、「Made in」に続く国名や地域名を確認してください。
イメージを示す言葉と原産国表示は区別して考える必要があります。
品質表示タグと洗濯表示を確認する
ケアラベルの有無を調べる
古いアロハシャツでは、現在の衣料品に見られるような詳しい洗濯表示が付いていないことがあります。
ブランドタグだけが首元に付いており、素材や洗濯方法を記載した別タグがない場合は、古い製品を検討する材料になります。
ただし、洗濯表示がないだけで年代を断定することはできません。
タグが切り取られている可能性や、小規模な仕立て業者が製作した可能性もあるためです。
アメリカのケアラベル規則を参考にする
アメリカでは、衣料品の洗濯方法などを表示するケアラベル規則が1971年に制定され、1972年7月3日に発効しました。
そのため、アメリカ市場向けの既製服で、切り取られた形跡のない詳しいケアラベルが付いている場合は、原則として1972年以降の商品を検討する材料になります。
ただし、ケアラベルだけで年代を確定することはできません。
輸出用商品、流通在庫、小規模生産品、規則の対象外となる商品など、例外が存在するためです。
ケアラベルは、年代を絞り込む補助情報として扱います。
タグが切り取られていないか確認する
洗濯表示が見当たらない場合は、脇や裾付近にタグを切った跡がないか確認します。
縫い目の間に短いタグの切れ端が残っている場合は、後から品質表示が取り外された可能性があります。
タグがない理由が、製造年代によるものなのか、所有者が切り取ったためなのかを見分けることが大切です。
RN番号を年代判別に活用する
RN番号とは何か
アメリカ向けの衣料品には、「RN」に続く数字が記載されている場合があります。
RNはRegistered Identification Numberの略で、アメリカの事業者が会社名の代わりに表示できる登録番号です。
RN番号を調べると、登録された企業名や所在地を確認できる場合があります。
ただし、RN番号は商品の製造番号ではありません。
番号だけから、アロハシャツの正確な製造年を特定することはできません。
RN番号があっても1970年代以降とは限らない
RN制度は1940年代から存在しています。
そのため、RN番号があるから1970年代以降の商品だと判断するのは誤りです。
RN番号は、次の情報と組み合わせて使います。
・登録企業の活動期間
・会社名の変更時期
・会社所在地
・ブランドの製造期間
・タグのデザイン
・原産国表示
また、企業が長期間同じRN番号を使用している場合もあります。
現在の登録情報と、シャツが作られた当時の会社情報が異なる可能性にも注意が必要です。
素材から年代の候補を絞る
レーヨンはヴィンテージアロハの代表的な素材
レーヨンは、古いアロハシャツを代表する素材の一つです。
特に1940年代から1950年代のヴィンテージアロハには、滑らかで落ち感のあるレーヨン生地が多く見られます。
レーヨンは発色がよく、人物、風景、和柄、植物などの細かなプリントを表現しやすい素材です。
ただし、レーヨンは1930年代から使用されており、1960年代以降や現代の商品にも広く使われています。
そのため、「レーヨン100%だから1950年代」と判断することはできません。
レーヨンであることは年代判別の出発点になりますが、タグや縫製との照合が必要です。
生地の手触りだけで年代を決めない
古いレーヨンには、柔らかさや独特のドレープ、表面の毛羽立ちなどが見られることがあります。
しかし、生地の状態は洗濯方法、保管環境、着用頻度によって大きく変わります。
現代の加工技術でも、古い生地に似た質感を再現できます。
そのため、生地の手触りや光沢だけで年代を断定するのは危険です。
素材表示やブランド資料を優先し、生地感は補助的に確認してください。
コットン製でも古い商品は存在する
ヴィンテージアロハはレーヨンだけで作られていたわけではありません。
コットンポプリン、ブロード、クレープ調の生地、バーククロスなど、さまざまな綿素材が使用されています。
コットン製のアロハシャツは、1930年代から1950年代にも存在します。
そのため、コットンだから1960年代以降、レーヨンだから1950年代以前という単純な分類はできません。
素材は、ブランド、柄、縫製、表示タグと合わせて判断します。
バーククロスの意味に注意する
ヴィンテージ衣料でバーククロスと呼ばれる生地は、樹皮のような粗い凹凸を持つ厚手の織物を指すことがあります。
本物の樹皮をたたいて作る伝統的な樹皮布とは異なる場合が一般的です。
バーククロスはミッドセンチュリー期の衣料品やインテリア生地にも使用されていますが、現代でも復刻されています。
バーククロス風の生地であることだけでは、年代を特定できません。
ポリエステルは比較的新しい年代の手掛かりになる
ポリエステルやポリエステル混紡の表示がある場合は、初期の1930年代から1940年代前半の商品である可能性は低くなります。
アロハシャツでは、1960年代以降に化学繊維や混紡素材の使用例が増えていきます。
ただし、ポリエステルが使われているから1970年代と断定することはできません。
1960年代の商品にも存在し、1980年代以降や現代の商品にも広く使われています。
ポリエステル表示から大まかな下限を考え、タグやブランド史で年代をさらに絞り込みます。
ボタンの素材と形状を確認する
ココナッツボタンは単独では判断材料にならない
ココナッツボタンは、古いアロハシャツでよく見られるディテールの一つです。
茶色系の色合いや天然素材らしい筋、個体ごとの模様の違いが特徴です。
ただし、ココナッツボタンは現代のアロハシャツや復刻品にも広く使用されています。
そのため、ココナッツボタンが付いているだけでヴィンテージとは判断できません。
また、木や樹脂、プラスチックをココナッツ風に加工したボタンもあります。
見た目だけで素材を断定せず、タグやほかのディテールと合わせて確認してください。
バンブー風ボタンや木製ボタンを見る
古いアロハシャツには、竹の節を模したバンブー風ボタンや木製ボタンが使われている場合があります。
横長や樽形のボタンを布製のループに通して留める仕様も見られます。
ただし、これらの特徴的なボタンも現代の復刻商品で再現されています。
ボタンの素材だけでなく、取り付け糸、ボタンホール、交換された痕跡も確認します。
貝ボタンや樹脂ボタンも幅広い年代に存在する
貝ボタンは天然素材特有の光沢や凹凸があります。
高級な古いシャツに使われる場合がありますが、現代の高級アロハシャツにも採用されています。
樹脂やプラスチックのボタンも、古い年代から現在まで幅広く使われています。
プラスチック製だから新しい、天然素材だから古いという区分はできません。
ボタンホールの向きを確認する
横向きボタンホールを過信しない
ヴィンテージアロハシャツには、横向きのボタンホールを持つものがあります。
ただし、ボタンホールの向きは、ブランド、工場、前立ての構造、ボタンの位置によって異なります。
現代の復刻品にも横向きのボタンホールは使われています。
また、首元や裾など負荷のかかる部分だけ横向きにし、中央部分を縦向きにするシャツもあります。
横向きだから1950年代、縦向きだから新しいという判断はできません。
特定ブランドの年代確定品と仕様を比較できる場合に限り、補助材料として使います。
ボタンホールの仕上げを見る
ボタンホールを見るときは、向きだけでなく、次の点も確認します。
・かがり糸の太さ
・縫い目の密度
・糸の色
・裏側の仕上げ
・縫い直しの痕跡
・ボタンとの位置関係
ただし、縫い目が不均一だから古い、均一だから新しいとは限りません。
当時の高品質品には精密な機械縫製があり、現代品でも手作業を取り入れている場合があります。
襟の形状から年代を推測する
オープンカラーは幅広い年代に使われている
アロハシャツには、台襟がなく襟元が自然に開くオープンカラーが多く見られます。
ヴィンテージアロハを代表する仕様ですが、現在のアロハシャツにも一般的です。
オープンカラーだから古いとは判断できません。
襟の大きさ、角度、芯地の有無などを、ブランドの年代資料と照合して使います。
ループ留めの有無を確認する
襟元に小さな布製ループがあり、第一ボタンに掛けて首元まで閉じられるシャツがあります。
このループカラー仕様は古い開襟シャツにも見られます。
ただし、ヴィンテージ風の商品にも頻繁に採用されています。
ループがあること自体ではなく、ブランドの同年代商品に同じ仕様があるかを確認してください。
襟の大きさは流行の参考になる
襟の形は、年代ごとの流行を判断する参考になります。
一般に1970年代のシャツでは、大きく尖った襟が見られることがあります。
一方、1940年代や1950年代には、比較的自然に寝る開襟が見られる場合があります。
ただし、襟の大きさはブランド、デザイン、サイズによって異なります。
小さい襟なら1940年代、大きい襟なら1970年代と機械的に判断してはいけません。
裾とシルエットを確認する
直線的な裾はアロハシャツの基本仕様
アロハシャツには、裾を外に出して着ることを想定した直線的な裾が多く見られます。
身幅が広く、着丈が比較的短いボックスシルエットも一般的です。
ただし、これらは古いアロハシャツだけの特徴ではありません。
現代のアロハシャツや復刻品にも同様のシルエットが採用されています。
実寸だけで年代を判断しない
古いシャツは洗濯や乾燥によって縮んでいる可能性があります。
裾上げや身幅の修正が行われている場合もあります。
そのため、着丈が短いから1950年代、身幅が広いからヴィンテージと判断することはできません。
実寸は、同じブランドや同じモデルの資料と比較できる場合に参考になります。
柄合わせとポケットを確認する
ポケットの柄合わせは品質を見る材料
高品質なアロハシャツでは、胸ポケットの柄が身頃の柄とつながるように裁断されていることがあります。
これを柄合わせ、ポケットマッチ、パターンマッチなどと呼びます。
柄合わせには生地と手間が必要なため、商品の品質や価格帯を推測する材料になります。
しかし、柄合わせは年代を示す特徴ではありません。
古い高級品にも現代の高級品にも見られます。
反対に、古い廉価品では柄合わせが行われていない場合があります。
前身頃の柄がつながるか確認する
ボタンを閉じたときに、左右の前身頃の柄が自然につながるシャツがあります。
大きな人物柄、風景柄、和柄などでは、柄の配置が丁寧に設計されていることがあります。
この仕様も、商品の設計や裁断精度を判断する材料です。
年代を特定するためではなく、同じ柄の商品やブランド資料を探す手掛かりとして活用します。
プリント方法と柄の構成を見る
表側からプリントされた生地
一般的なプリント生地では、生地の表側に柄が印刷されています。
表面は色が鮮明で、裏面は薄く見えることがあります。
この方法は古いアロハシャツにも現代品にも使われています。
プリントの表裏だけで年代を判断することはできません。
裏使いプリント
裏使いプリントは、プリントされた生地の裏面を表側として使い、色を落ち着かせる方法です。
Reyn Spoonerなどのアロハシャツでよく知られています。
ただし、裏使いプリントは現在も使われています。
裏使いだから1960年代や1970年代と断定することはできません。
ブランドや生地名、タグのデザインと合わせて判断します。
抜染プリント
抜染プリントは、染めた生地から一部の色を抜いて柄を表現する方法です。
色が生地になじみやすく、表裏の色差が小さく見える場合があります。
抜染プリントも古い商品から現代品まで存在します。
プリント方法は、年代よりも生地の種類や製造技術を判断する情報として扱います。
柄の種類から年代を判断できるのか
和柄は初期アロハとの関係が深い
鶴、虎、龍、富士山、桜、波、扇子などの和柄は、ヴィンテージアロハを代表するモチーフです。
アロハシャツの成立には複数の説がありますが、日本の着物や浴衣の生地が重要な影響の一つだったと考えられています。
ただし、和柄は現在も非常に人気があり、多くのブランドが復刻しています。
和柄だから1940年代や1950年代と判断することはできません。
同じ柄の古い広告、カタログ、版権情報などを探すための手掛かりとして使います。
ボーダー柄やホリゾンタル柄
人物や風景、植物などが横方向に帯状に配置された柄は、ボーダーパターンやホリゾンタルパターンと呼ばれます。
ヴィンテージ市場で人気の高い柄ですが、後年にも数多く復刻されています。
柄の構成だけで年代を決めるのではなく、同じデザインがいつ製造されたかを資料で確認します。
バックパネル柄
背中全体に大きな一枚絵を配置したものを、バックパネル柄と呼びます。
ハワイの風景、地図、船、魚、人物などが描かれることがあります。
バックパネル柄もヴィンテージアロハの代表的なデザインですが、現代品にも多く見られます。
柄の希少性や価値と、製造年代は分けて考える必要があります。
縫製仕様を確認する
縫い代の処理を見る
シャツの裏側を見ると、年代判別の補助になる縫製情報を確認できます。
主に確認したいのは次の部分です。
・脇の縫い代
・袖付け部分
・襟の裏側
・裾の折り返し
・ポケットの裏側
・肩の縫い合わせ
折り伏せ縫い、巻き縫い、ロックミシンなど、さまざまな処理があります。
ただし、縫製方法は年代だけでなく、価格帯、素材、工場、ブランド方針によって変わります。
ロックミシンが使われているから新しい、折り伏せ縫いだから古いとは限りません。
同じブランドの年代確定品と比較する
縫製仕様は、単独で見るよりも、同じブランドの年代が分かっている商品と比較することで有効になります。
例えば、特定の時期だけポケットの取り付け方法や襟の芯地が変わっているブランドもあります。
ブランド横断で一般化するのではなく、同一ブランド内の変化を追うことが重要です。
修理や交換の痕跡を確認する
古いアロハシャツでは、ボタン、ポケット、袖、襟などが修理されている場合があります。
修理されていること自体は、ヴィンテージ品として不自然ではありません。
ただし、交換されたパーツを年代判別の根拠にはできません。
次のような点を確認します。
・一部のボタンだけ種類が違う
・縫い糸の色が部分的に異なる
・ステッチの幅が一部だけ違う
・ポケットの柄が不自然にずれている
・襟や裾に縫い直しの跡がある
オリジナルの部分と後から修理された部分を区別する必要があります。
経年変化は年代の証明になるのか
色あせや傷みだけでは判断できない
古いアロハシャツには、襟裏の変色、脇の色抜け、袖口の擦れ、生地の薄化などが見られることがあります。
しかし、これらは年代よりも着用頻度や保管環境を示す場合があります。
短期間でも強い日差しや頻繁な洗濯によって傷むことがあります。
一方、数十年前の商品でも、未使用のまま保管されていればきれいな状態を保っています。
ヴィンテージ加工にも注意する
現代のシャツには、色あせ、擦れ、毛羽立ちなどを人工的に加えたヴィンテージ加工品があります。
そのため、傷みがあるから古いとは限りません。
生地の劣化は、ほかの情報と矛盾していないかを確認するための補助材料として使います。
年代別に見られるアロハシャツの傾向
1930年代から1940年代前半
この時期は、現在のアロハシャツにつながる商品が商業的に広がり始めた時代です。
起源には複数の説があり、日本の着物や浴衣の生地、中国系の仕立て業者、ハワイの労働着、西洋式シャツなど、複数の文化的要素が影響したと考えられています。
この年代の候補として考えられる特徴には、次のようなものがあります。
・詳しいケアラベルがない
・小規模な仕立て業者やメーカーのタグ
・レーヨン、コットン、シルク系の生地
・和装生地の影響を受けた柄
・天然素材系のボタン
ただし、これらはすべての商品に共通する特徴ではありません。
現存数が少なく、タグのない個体もあるため、専門資料との照合が特に重要です。
1940年代後半から1950年代
1940年代後半から1950年代は、ヴィンテージアロハの代表的な時期として人気があります。
この年代の実物には、次のような仕様が見られることがあります。
・発色のよいレーヨン生地
・和柄、人物柄、風景柄
・ボーダー柄
・バックパネル柄
・ココナッツ風やバンブー風のボタン
・開襟型の襟
・ボックス型のシルエット
・ポケットや前身頃の柄合わせ
ただし、これらは現代の復刻品で最も再現されやすい特徴でもあります。
タグ、品質表示、会社名、縫製などを合わせて確認しなければなりません。
1960年代
1960年代には、レーヨン、コットン、化学繊維や混紡素材など、多様な生地が使われました。
抽象柄、幾何学柄、トロピカル柄など、デザインの幅も広がっています。
一部のブランドでは、裏使い生地や落ち着いた配色のアロハシャツも展開されました。
ただし、これらは1960年代全体に共通する特徴ではありません。
鮮やかなレーヨン製アロハや和柄の商品も引き続き存在します。
1960年代を判断する際は、ブランドタグの変遷や会社情報を優先してください。
1970年代
1970年代のアロハシャツには、次のような傾向が見られる場合があります。
・ポリエステルや混紡素材
・大きく尖った襟
・鮮やかな配色
・抽象的なトロピカル柄
・詳しい品質表示
・洗濯方法を示すケアラベル
ただし、RN番号は1940年代から存在するため、1970年代特有の特徴ではありません。
また、ポリエステル製品や大きな襟は1960年代にも存在します。
複数の要素が一致するかを確認してください。
1980年代から1990年代
1980年代から1990年代には、観光客向けの量産品、ファッションブランドの商品、ヴィンテージ復刻品などが混在します。
次のような特徴が見られる場合があります。
・ゆったりしたシルエット
・鮮やかな色や大柄のプリント
・ポリエステルやレーヨンの量産生地
・複数言語の品質表示
・アジア各国での生産
・商品番号やバーコード付きの紙タグ
ただし、原産国だけで年代や品質を判断することはできません。
ブランドごとの生産履歴を調べる必要があります。
復刻品を見分ける方法
品質表示タグを優先して確認する
復刻品は、首元のブランドタグやボタン、柄などを忠実に再現しています。
外見だけでは、オリジナルのヴィンテージ品と区別しにくい場合があります。
そのため、脇や裾付近の品質表示タグを最初に確認してください。
現代の会社名、日本語表示、複数言語、商品番号などがあれば、後年の復刻品である可能性が高くなります。
コピーライトやライセンス表記を見る
復刻アロハシャツには、柄の権利者やブランド名、コピーライト年が記載されていることがあります。
コピーライトの年は、必ずしも製造年ではありません。
柄が最初に作られた年や、権利が登録された年を示している場合があります。
年号を見つけても、そのまま製造年とは判断しないでください。
生地や縫製が新しすぎないか確認する
復刻品では、古いタグやボタンを再現していても、品質表示や縫製糸、芯地などに現代的な特徴が見られることがあります。
ただし、高品質な復刻品は縫製まで忠実に再現しているため、外見だけで見分けるのが難しい場合もあります。
最終的には、ブランドの商品番号や公式カタログとの照合が有効です。
アロハシャツの年代を調べる具体的な手順
1.すべてのタグを撮影する
首元のブランドタグだけでなく、脇、裾、ポケット付近にあるすべてのタグを撮影します。
文字が薄い場合は、自然光の下で角度を変えて撮影してください。
確認したい情報は次のとおりです。
・ブランド名
・会社名
・所在地
・素材
・原産国
・サイズ
・洗濯表示
・RN番号
・商品番号
2.ブランドタグの変遷を調べる
ブランド名とタグの特徴を組み合わせて検索します。
例えば、次のような検索方法があります。
・ブランド名 vintage label
・ブランド名 tag history
・ブランド名 1950s aloha shirt
・ブランド名 1960s label
・ブランド名 old catalog
販売サイトだけでなく、博物館の収蔵品、ブランド公式資料、古い広告、カタログなども確認します。
3.会社名と所在地を確認する
タグに会社名や住所が書かれている場合は、その企業がいつ存在していたかを調べます。
会社の移転、合併、名称変更が分かれば、年代を限定できることがあります。
ブランド名よりも、会社名や所在地のほうが年代判別に役立つ場合があります。
4.品質表示とケアラベルを確認する
素材、原産国、洗濯方法、RN番号を確認します。
ケアラベルがある場合は、1972年以降のアメリカ市場向け商品である可能性を検討します。
ただし、表示だけで断定せず、ほかの情報と照合してください。
5.素材とボタンを見る
レーヨン、コットン、ポリエステル、混紡などの素材を確認します。
ボタンについては、素材、形状、取り付け方法、交換の痕跡を見ます。
素材やボタンは年代を補強する情報であり、単独では決め手になりません。
6.襟、裾、ポケットを確認する
襟の大きさ、ループ留め、裾の形、ポケットの柄合わせなどを確認します。
これらが、調べたブランドの年代資料と一致するかを見ます。
7.裏側の縫製を調べる
脇、袖、襟、裾、ポケットの裏側を確認します。
修理やパーツ交換の痕跡がないかも調べます。
8.複数の資料を照合する
年代判別では、一つの販売ページだけを根拠にしないことが大切です。
古着販売サイトの商品説明には、根拠のない年代表記が含まれる場合があります。
博物館、ブランド公式資料、当時の広告、カタログなど、複数の情報を比較してください。
年代判別で信頼性が高い情報
優先して確認したい情報
年代を判断するときは、次の情報を優先します。
・年代が記録された購入証明や納品書
・当時のカタログや広告
・博物館の収蔵記録
・ブランド公式のタグ変遷資料
・特定期間しか使われていない会社名や所在地
・当時の写真に写っている同一商品
・ブランドが管理する製造番号や商品番号
これらは、年代の根拠として比較的信頼性が高い情報です。
補助的に使う情報
次の情報は、年代候補を絞るために使えます。
・ケアラベル
・素材表示
・原産国表示
・RN番号
・襟の形
・縫製仕様
・タグの取り付け方法
・ボタンの種類
・プリント方法
単独ではなく、複数を組み合わせて判断します。
単独では年代を判断しにくい情報
次の特徴だけで製造年代を判断することはできません。
・レーヨン100%
・ココナッツボタン
・横向きボタンホール
・オープンカラー
・和柄
・柄合わせ
・ボックスシルエット
・色あせや傷み
・Made in Hawaii表記
・織りタグ
これらは古いアロハシャツにも見られますが、現代品にも存在します。
アロハシャツの年代判別チェックリスト
アロハシャツの年代を調べる際は、次の順番で確認すると効率的です。
・ブランド名が分かるか
・タグのロゴや書体はどの年代のものか
・会社名や所在地が記載されているか
・原産国表示があるか
・素材表示があるか
・ケアラベルが付いているか
・RN番号があるか
・商品番号やコピーライト表記があるか
・レーヨン、コットン、ポリエステルのどれか
・ボタンは交換されていないか
・襟の形はブランド資料と一致するか
・裾やポケットに修理跡がないか
・柄合わせは行われているか
・縫い代はどのように処理されているか
・同じタグや柄の資料が見つかるか
・複数の資料が同じ年代を示しているか
まとめ
アロハシャツの年代を判別するときは、ブランドタグ、会社名、所在地、原産国表示、品質表示、素材、縫製などを総合的に確認します。
最も重要なのは、最初にブランドやタグから年代の候補を絞り込み、その後に素材やボタン、襟、柄などの特徴が矛盾していないか確かめることです。
レーヨン、ココナッツボタン、横向きボタンホール、和柄、柄合わせなどは、古いアロハシャツにも見られます。
しかし、いずれも現代の復刻品に採用されているため、単独では年代判別の決め手になりません。
また、RN番号は1940年代から存在し、ケアラベル規則は1972年7月3日に発効したことも覚えておきたいポイントです。
正確な製造年が分からない場合は、無理に一点へ絞り込まず、「1950年代後半から1960年代前半」のように年代の幅を持たせて判断するのが適切です。
以上、アロハシャツの年代を判別する方法についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

