セーターの漂白は、一般的な衣類よりも慎重に行う必要があります。
とくにウールやカシミヤなどの動物性繊維は、漂白剤の種類を間違えると、縮み・変色・毛羽立ち・フェルト化などを起こす可能性があります。
漂白する前に、セーターの洗濯表示と漂白剤の製品表示を必ず確認しましょう。
セーターを漂白する前に確認すること
洗濯表示の漂白マークを確認する
漂白剤を使用できるかどうかは、洗濯表示にある三角形のマークで判断します。
| 漂白マーク | 意味 |
|---|---|
| 何も描かれていない三角形 | 塩素系・酸素系漂白剤を使用できる |
| 三角形の中に斜線が2本 | 酸素系漂白剤のみ使用できる |
| 三角形に×印 | 漂白処理ができない |
三角形に×印が付いている場合は、全体のつけ置きだけでなく、家庭用漂白剤を使った部分的なシミ抜きも避けるのが基本です。
また、漂白マークだけでなく、家庭洗濯ができるかどうかも確認してください。
洗濯おけに×印が付いているセーターは、家庭で水洗いできません。
丸の中に「P」や「F」があるマークは、ドライクリーニングができることを示すものであり、そのマークだけで家庭洗濯禁止を意味するわけではありません。
家庭洗濯とクリーニングの表示は、それぞれ分けて確認しましょう。
セーターの素材を確認する
セーターに使われている素材によって、使用できる漂白剤が異なります。
| 主な素材 | 漂白するときの注意点 |
|---|---|
| ウール・カシミヤ | 塩素系と粉末酸素系は基本的に使用しない |
| アンゴラ・モヘヤ | 縮みや毛羽立ちが起こりやすいため、家庭での漂白は慎重に判断する |
| シルク | 塩素系と粉末酸素系は使用しない |
| アクリル | 酸素系を使える場合があるが、洗濯表示を優先する |
| ポリエステル | 酸素系を使える場合が多いが、色落ちや装飾に注意する |
| 綿・麻 | 比較的漂白しやすいが、染料や編み地の縮みに注意する |
| レーヨン | 水による縮みや型崩れが起こりやすいため慎重に扱う |
混紡素材の場合は、配合率が低い素材も含めて判断します。
例えば、アクリル90%・ウール10%のセーターにはウールが含まれているため、ウールに使用できない漂白剤は避けなければなりません。
「中性洗剤使用」の表示を確認する
ウールやカシミヤのセーターには、「中性洗剤使用」と記載されていることがあります。
この場合、弱アルカリ性の粉末酸素系漂白剤は使用できない可能性が高いため注意が必要です。
「酸素系漂白剤だから使える」と判断せず、漂白剤の液性と使用可能素材まで確認してください。
セーターに使用する漂白剤の選び方
塩素系漂白剤は基本的に避ける
塩素系漂白剤は漂白力が強く、色柄物に使うと染料まで脱色する可能性があります。
ウール、カシミヤ、アンゴラ、モヘヤ、シルクなどの動物性繊維には通常使用できません。
白いセーターであっても、塩素系漂白剤を使えるとは限らないため注意しましょう。
セーター本体が白くても、縫い糸、ボタン、刺繍、装飾、仕上げ加工などが変色することがあります。
塩素系漂白剤を使用する場合は、衣類の洗濯表示で使用が認められており、漂白剤の製品表示でも対象素材に含まれていることが最低条件です。
判断できない場合は、使用しないほうが安全です。
液体酸素系漂白剤は使用できる場合がある
液体酸素系漂白剤には、色柄物や、水洗いできるウール・シルクに使用できる製品があります。
セーターの黄ばみ、汗じみ、食べこぼしなどを漂白したい場合は、塩素系よりも液体酸素系漂白剤のほうが適している場合があります。
ただし、すべての液体酸素系漂白剤がウールやシルクに使えるわけではありません。
次の条件をすべて満たしているか確認してください。
- セーターが家庭で水洗いできる
- 洗濯表示で酸素系漂白剤の使用が認められている
- 漂白剤の使用可能素材にセーターの素材が含まれている
- 金属や革など、使用できない装飾が付いていない
- 色落ちや変色が起こらない
ウールやシルクを洗う場合は、その素材に対応した中性のおしゃれ着用洗剤を使用します。
漂白剤と洗剤を併用できるかどうかについても、製品表示を確認しましょう。
粉末酸素系漂白剤はウールに使用しない
粉末酸素系漂白剤の多くは、過炭酸ナトリウムを主成分とする弱アルカリ性です。
液体酸素系漂白剤よりも漂白力が強い傾向がありますが、ウール、カシミヤ、シルクなどのタンパク質繊維には基本的に使用できません。
「酸素系」という名称だけを見て、粉末タイプをウールセーターに使用しないよう注意してください。
「中性洗剤使用」と表示されているセーターにも、弱アルカリ性の粉末酸素系漂白剤は適していません。
還元型漂白剤は用途を確認する
還元型漂白剤は、鉄さびや鉄分による黄ばみなど、特定の汚れに使用される漂白剤です。
通常の汗じみや食べこぼしに幅広く使うものではありません。
色柄物を脱色したり、金属製の装飾に影響を与えたりする可能性があるため、一般的なセーターの漂白に自己判断で使用するのは避けましょう。
参考サイト
色柄物やおしゃれ着って漂白できるの?|お洗濯にプラスワン ブライトSTRONGシリーズ|ライオン株式会社
セーターを漂白する基本的な手順
1.目立たない場所で変色テストを行う
洗濯表示で酸素系漂白剤を使用できる場合でも、実際の染料や加工によっては色落ちすることがあります。
裾の裏側や脇の内側など、目立たない部分で変色テストを行いましょう。
テスト方法は漂白剤によって異なるため、必ず製品表示に記載された方法に従ってください。
次のような変化が見られた場合は、漂白を中止します。
- セーターの色が薄くなる
- 白い布に色が移る
- 生地が硬くなる
- 毛羽立ちが強くなる
- 光沢がなくなる
- 編み地が縮む
- 表面が波打つ
製品表示にテスト方法が記載されていない場合や、変色の判断が難しい場合は、メーカーまたはクリーニング店に相談しましょう。
2.適切な水温を用意する
水温は、セーターの洗濯表示と漂白剤の製品表示の両方を確認し、指定された上限温度を超えないようにします。
ウールなどのデリケートな素材は、一般的に30℃以下の水が適しています。
高温のお湯を使うと、縮みやフェルト化、色落ちなどが起こりやすくなります。
また、漂白時とすすぎ時の水温が大きく変わることも、ウールが縮む原因になるため注意してください。
3.漂白剤を規定どおりに使用する
漂白剤は、製品に記載された使用量と濃度を守ってください。
漂白力を高めようとして量を増やしても、汚れがきれいに落ちるとは限りません。
濃度が高すぎると、色落ち、黄変、繊維の劣化などにつながります。
原液を直接付けられる製品もありますが、使用できる素材や汚れが限定されています。
製品表示で認められていない限り、ウールやカシミヤのセーターに漂白剤の原液を直接かけないでください。
4.優しく押し洗いする
セーターを漂白液に浸す場合は、たたんだ状態で静かに沈めます。
強くもむ、こする、ねじるといった洗い方は避けてください。
ウールは、水分、熱、アルカリ、摩擦などの影響が重なると、繊維同士が絡み合ってフェルトのように硬く縮むことがあります。
漂白中は、手のひらで静かに押す程度にとどめましょう。
5.つけ置き時間を守る
つけ置き時間は、漂白剤の製品表示に従います。
汚れが落ちないからといって、一晩つけ置きするのは避けてください。
長時間つけ置きすると、色落ち、黄変、毛羽立ち、生地の劣化などが起こる可能性があります。
規定時間内で汚れが落ちない場合は、繰り返し漂白するのではなく、クリーニング店へ相談するのがおすすめです。
6.十分にすすぐ
漂白後は、漂白するときと大きく変わらない水温ですすぎます。
セーターを水の中で優しく押し、漂白剤が残らないようにすすぎましょう。
強く絞ったり、ねじったりすると、編み目が変形する可能性があります。
水を切るときは、セーターを両手で支え、上から軽く押してください。
7.洗濯表示に従って乾かす
すすぎ終わったら、大きなタオルでセーターを挟み、上から軽く押して水分を吸収させます。
その後、洗濯表示に記載された乾燥方法に従って乾かしてください。
平干し表示がある場合は、形を整えて平干しします。
乾燥方法が分からない場合も、伸びや型崩れを防ぐため、平らな場所で陰干しするのが無難です。
濡れたセーターをハンガーに掛けると、水分の重さによって肩や身頃が伸びることがあります。
乾燥機は、タンブル乾燥が明確に認められている場合を除き、使用しないほうが安全です。
ドライヤーの熱風を近距離から当てる方法も、部分的な縮みや変形につながるため避けましょう。
汚れの種類に合わせた漂白方法
黄ばみや汗じみ
洗濯表示と製品表示の両方で使用できる場合は、液体酸素系漂白剤による部分処理や短時間のつけ置きを行います。
ただし、すべての黄ばみを漂白剤で落とせるわけではありません。
紫外線、熱、経年劣化、不適切な保管などによって繊維や染料自体が変質している場合は、漂白しても元に戻らないことがあります。
何度も漂白すると、生地だけが傷む可能性があるため注意しましょう。
食べ物や飲み物のシミ
汚れが付いた直後は、乾いた布やティッシュで水分を吸い取ります。
強くこすると、汚れが編み目の奥まで入り込んだり、周囲に広がったりするため、上から軽く押さえてください。
その後、素材に対応した中性洗剤や液体酸素系漂白剤で処理します。
油分を含むシミは漂白剤だけでは落ちにくいため、おしゃれ着用中性洗剤で油分を処理してから漂白を検討しましょう。
血液のシミ
血液にはタンパク質が含まれているため、熱いお湯を使うと汚れが固まって落ちにくくなることがあります。
まず水または低温のぬるま湯で予洗いし、その後、使用可能な液体酸素系漂白剤で処理してください。
時間が経過した血液汚れは落ちにくいため、無理にこすったり、長時間漂白したりしないようにしましょう。
カビ
軽いカビであれば、洗濯表示と製品表示で使用が認められた酸素系漂白剤を使える場合があります。
ただし、黒いカビの色素が繊維の奥まで入り込んでいる場合や、広範囲に発生している場合は、家庭で完全に落とすのが難しいことがあります。
カビ部分に塩素系漂白剤を直接かける方法は、セーターの色や繊維を傷める可能性が高いため避けてください。
漂白剤を使う際の安全上の注意点
塩素系漂白剤と酸性製品を混ぜない
塩素系漂白剤と酸性タイプの洗浄剤を混ぜると、有害な塩素ガスが発生する可能性があります。
クエン酸や酢も酸性であるため、塩素系漂白剤と絶対に混ぜてはいけません。
塩素系漂白剤を使用するときは、周囲に酸性洗剤やクエン酸水などが残っていないことも確認してください。
刺激臭、せき、息苦しさ、喉や目の痛みなどを感じた場合は、すぐに作業を中止してその場を離れ、十分に換気します。
症状が続く場合は、医療機関や中毒に関する相談窓口へ連絡してください。
自己流で漂白剤や洗剤を混ぜない
異なる種類の漂白剤を混ぜて使用してはいけません。
また、重曹、クエン酸、酢、食器用洗剤などを自己流で加える方法も避けましょう。
一方、製品表示で洗濯用洗剤との併用が認められている液体酸素系漂白剤は、指定された方法で洗剤と一緒に使用できます。
重要なのは、すべての併用を避けることではなく、メーカーが認めていない独自の組み合わせをしないことです。
ゴム手袋を着用する
漂白剤は皮膚への刺激になることがあります。
使用するときはゴム手袋やビニール手袋を着用し、漂白液が皮膚や目に付かないようにしてください。
皮膚に付いた場合は、すぐに十分な水で洗い流します。
目に入った場合はこすらずに流水で洗い、製品表示に従って医療機関へ相談してください。
十分に換気する
漂白剤を使うときは、窓を開けたり換気扇を回したりして、十分に換気します。
洗面所や浴室などの狭い場所では、とくに注意が必要です。
容器へ顔を近づけたり、漂白剤のにおいを直接嗅いだりしないでください。
漂白液を密閉容器に入れない
粉末酸素系漂白剤などは、使用中に酸素が発生する場合があります。
密閉容器に入れると内部の圧力が高まり、容器が破裂する可能性があります。
漂白液をペットボトルなどへ移して保管するのも避けてください。
漂白液は使用する直前に作り、作り置きせず、製品表示に従って処理しましょう。
金属や革の装飾に注意する
金属製のボタン、ファスナー、ホック、ビーズ、装飾糸などは、漂白剤によって変色や腐食が起こる場合があります。
革や合成皮革のパーツも、変色、硬化、剥離などが起こる可能性があります。
漂白剤の製品表示に「金属製の付属品が付いた衣類には使用できない」と記載されている場合は、部分漂白であっても使用しないでください。
色を組み合わせたセーターに注意する
ボーダー柄、ノルディック柄、刺繍入りなど、複数の色を使ったセーターは色移りしやすい傾向があります。
本体と襟、袖口、刺繍糸などに異なる染料が使われている場合もあります。
目立たない場所で問題がなくても、長時間つけ置きすると濃い部分から薄い部分へ色が移る可能性があるため注意してください。
セーターの漂白で避けたい失敗例
セーターを傷めないために、次のような方法は避けましょう。
- 洗濯表示を確認せずに漂白する
- 白いセーターなら塩素系を使えると判断する
- ウールやカシミヤに粉末酸素系漂白剤を使う
- 漂白剤を規定量より多く入れる
- 熱湯にセーターを浸す
- 一晩中つけ置きする
- 強くもむ、こする、ねじる
- 漂白剤同士を混ぜる
- 塩素系漂白剤にクエン酸や酢を加える
- メーカーが案内していない薬剤を混ぜる
- 漂白後のすすぎを簡単に済ませる
- 濡れたセーターをハンガーに掛ける
- ドライヤーの熱風で急激に乾かす
クリーニング店に相談したほうがよいケース
次のようなセーターは、家庭で無理に漂白せず、クリーニング店へ相談するのがおすすめです。
高級素材を使用している
カシミヤ、アンゴラ、モヘヤ、シルクなどを使用したセーターは、漂白剤だけでなく水や摩擦にも弱い場合があります。
高価なセーターや思い入れのある衣類も、専門店へ任せたほうが安心です。
水洗いや漂白が禁止されている
洗濯おけに×印がある場合は、家庭で水洗いできません。
三角形に×印がある場合は、家庭用漂白剤による処理を避けます。
部分的なシミであっても、自己判断で漂白剤を使わないようにしましょう。
装飾や特殊加工が施されている
金属、革、合成皮革、ビーズ、スパンコールなどが付いているセーターは、漂白剤の影響を受ける可能性があります。
防水、撥水、形状保持などの特殊加工が施されている場合も、家庭での漂白は慎重に判断してください。
汚れの原因が分からない
汚れによって適した処理方法は異なります。
原因が分からないまま漂白すると、汚れが落ちないだけでなく、変色や輪じみが残る可能性があります。
すでに家庭で洗剤や漂白剤を使った場合は、使用した製品名や処理方法をクリーニング店へ伝えましょう。
まとめ
セーターを漂白するときは、衣類の洗濯表示と漂白剤の製品表示の両方を確認することが重要です。
一般的なセーターでは塩素系漂白剤を避け、使用条件を満たした液体酸素系漂白剤を選ぶのが基本となります。
ただし、酸素系漂白剤でも、粉末タイプの多くは弱アルカリ性であるため、ウール、カシミヤ、シルクには使用できません。
漂白する場合は、目立たない部分で変色テストを行い、使用量、水温、つけ置き時間を守って優しく処理しましょう。
洗濯表示で漂白が禁止されているもの、水洗いできないもの、高級素材や装飾の多いものについては、家庭で無理に処理せず、クリーニング店へ相談するのが安全です。
以上、セーターを漂白する際の注意点についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

