セーターの模様編みとは、表編みや裏編み、交差編み、掛け目、すべり目、色の切り替えなどを組み合わせ、編み地に柄や凹凸を作る編み方の総称です。
模様編みを取り入れると、単色の毛糸でも立体感のあるセーターに仕上げられます。
複数の色を使用すれば、幾何学模様、雪の結晶、動物、花など、さらに幅広いデザインを表現できます。
ただし、模様の種類によって、編み地の厚み、伸縮性、重さ、毛糸の使用量、編み方の難易度が異なります。
セーターを編むときは、見た目の好みだけでなく、着用する季節や用途も考えて模様を選ぶことが大切です。
セーターの模様編みの主な分類
セーターに使われる模様編みは、大きく次のように分類できます。
| 分類 | 主な模様 | 特徴 |
|---|---|---|
| 表目と裏目による模様 | 鹿の子編み、ガーター編み、ゴム編み | 基本的な編み方で凹凸を作る |
| 交差編みによる模様 | ケーブル編み、アラン模様 | 縄やひし形などの立体模様を作る |
| 掛け目による模様 | 透かし編み、リーフ模様、波模様 | 編み地に穴を作り軽さを出す |
| 配色による模様 | フェアアイル、ノルディック、インターシャ | 複数の色で柄を表現する |
| すべり目による模様 | モザイク編み、リネンステッチ | 編まずに移す目を使って柄を作る |
| 特殊な構造の模様 | ブリオッシュ、エンターラック、ダブルニッティング | 厚みや独特な構造を作る |
実際のセーターでは、一つの技法だけでなく、複数の模様を組み合わせることもあります。
たとえば、身頃の中央にケーブル編み、両脇に鹿の子編み、裾と袖口にゴム編みを配置すると、単色でも表情豊かなデザインになります。
表目と裏目を使った模様編み
鹿の子編み
鹿の子編みは、表目と裏目を交互に配置し、編み地に小さな粒状の凹凸を作る模様です。
一般的な1目鹿の子では、1目ごとに表編みと裏編みを切り替えます。
次の段では、表目の上に裏目、裏目の上に表目がくるように編みます。
メリヤス編みよりも凹凸があり、端が丸まりにくいのが特徴です。
カジュアルなセーター、カーディガン、ベスト、子ども服などに幅広く使われます。
基本となる表編みと裏編みで構成されているため、模様編みに初めて挑戦する人にもおすすめです。
ただし、表目と裏目を切り替えるときに糸を針の間から前後へ移動させないと、意図しない掛け目ができることがあります。
2目鹿の子編み
2目鹿の子編みは、表目と裏目を2目ずつ、または複数段ごとに切り替える模様です。
1目鹿の子よりも一つひとつの凹凸が大きく、存在感のある編み地になります。
デザインによっては「2段鹿の子」などの名称が使われます。
鹿の子編みは名称だけでは目数や段数が分からないことがあるため、実際の編み図を確認しましょう。
ガーター編み
ガーター編みは、横方向に畝が並ぶ、厚みと弾力のある編み地です。
往復編みの場合は、基本的にすべての段を表編みで編みます。
表側と裏側の見た目がほぼ同じで、端が丸まりにくいことが特徴です。
セーター全体のほか、裾、襟、袖口、前立てなどにも使用されます。
ただし、ガーター編みはメリヤス編みより縦方向に詰まりやすく、同じ段数でも丈が短くなる傾向があります。
セーター全体をガーター編みにすると、柔らかく素朴な印象になりますが、厚みや重さが出る場合もあります。
なお、輪編みですべての段を表編みにすると、ガーター編みではなくメリヤス編みになります。
輪編みでガーター編みにする場合は、基本的に表編みの段と裏編みの段を交互に繰り返します。
ゴム編み・リブ編み
ゴム編みは、表目と裏目を縦方向に規則的に並べる編み方です。
代表的な種類には、1目ゴム編み、2目ゴム編み、変わりゴム編みなどがあります。
縦方向に筋が入り、横方向によく伸びるため、身体に沿いやすい編み地になります。
セーターでは、裾、袖口、襟など、適度にフィットさせたい部分に使われるのが一般的です。
セーター全体をゴム編みにすると、縦のラインが強調され、細身ですっきりとした印象になります。
一方、横方向に大きく伸ばすと、表目と裏目の間が開いて見える場合があります。
ワッフル編み
ワッフル編みは、表目と裏目などを組み合わせて、格子状の凹凸を作る模様です。
焼き菓子のワッフルのような四角い凹凸が現れ、単色でもデザイン性のある編み地になります。
厚みが出やすいため、秋冬用のセーターやカーディガンに向いています。
ただし、ワッフル編みと呼ばれる模様には複数の編み方があり、編み図によって構造が異なります。
凹凸が深い模様は毛糸の使用量が増え、完成したセーターが重くなることもあります。
ハニカム模様
ハニカム模様は、蜂の巣のような形を表現する模様です。
交差編み、すべり目、表目と裏目の組み合わせなど、さまざまな方法で作られます。
ハニカムという名称だけで一つの編み方が決まっているわけではありません。
アランセーターの一部に使われる立体的なハニカム模様もあれば、すべり目によって作る比較的薄い模様もあります。
編み方によって厚みや伸縮性が大きく異なるため、編み図と完成写真の両方を確認しましょう。
交差編みを使った立体的な模様
ケーブル編み・縄編み
ケーブル編みは、一部の編み目の順番を入れ替えて交差させ、縄のような立体模様を作る技法です。
日本では「縄編み」と呼ばれることもあります。
一般的には、一部の目をなわ編み針に移し、編み地の前側または後ろ側に休ませてから、別の目を先に編みます。
休ませる目の位置によって、右上または左上に流れる交差模様ができます。
細いケーブルは繊細で上品な印象になり、太いケーブルは力強く存在感のある印象になります。
前身頃の中央だけに配置したり、袖に細いケーブルを入れたり、セーター全体に複数のケーブルを並べたりできます。
交差部分では編み地が横方向に縮みやすいため、同じ身幅のメリヤス編みより多くの目数が必要になる場合があります。
アラン模様
アラン模様は、ケーブル、ダイヤ、ハニカムなどの立体模様を組み合わせたデザインです。
アイルランド西岸のアラン諸島と結びついて発展したニット模様として知られています。
ただし、現在知られているアランセーターの様式は、主に20世紀に広まったものと考えられています。
「模様ごとに家系を表していた」「遭難した漁師の身元確認に使われた」といった話も知られていますが、歴史的事実として確立されているわけではありません。
アラン模様のセーターは、厚みと立体感があり、冬らしい重厚な雰囲気に仕上がります。
その一方で、交差編みが多いため、編み図が複雑になりやすく、完成までに多くの時間と毛糸が必要です。
ダイヤ模様
ダイヤ模様は、交差編みや表目と裏目を使って、ひし形を作る模様です。
ひし形の内側に鹿の子編み、ハニカム、ボッブルなどを組み合わせるデザインもあります。
縦方向に連続して配置すると、前身頃や後ろ身頃の中心が強調され、すっきりとした印象になります。
アラン模様の一部として使われるほか、ダイヤ模様だけを単独で配置することも可能です。
生命の木模様
生命の木模様は、枝が左右へ広がる木のような形を交差編みで表現する模様です。
アラン風のデザインに取り入れられる代表的なモチーフの一つです。
前身頃や後ろ身頃の中央に縦方向へ配置すると、視線を上下に誘導できます。
交差する目数や枝分かれの数によって、シンプルなものから非常に複雑なものまであります。
なお、模様の名称や意味については、編み物の書籍やデザイナーによって異なる説明がされる場合があります。
ボッブル編み
ボッブル編みは、一つの目から複数の目を編み出し、数段編んでからまとめることで、丸い玉のような立体模様を作る技法です。
胸元や袖に部分的に入れるとアクセントになり、セーター全体に配置すると個性的で華やかな印象になります。
ボッブル、ポップコーン、玉編みは、いずれも丸い立体模様を作る技法として紹介されることがあります。
ただし、編み目の増やし方やまとめ方が異なるため、完全な同義語ではありません。
日本語の「玉編み」は、かぎ針編みの技法を指す場合もあります。
ボッブルの数が多いセーターは厚みや重さが増え、バッグなどに引っかかりやすくなることにも注意が必要です。
参考サイト
【編み物柄】アラン模様のパターン、交差模様の編み方 – 棒針編み – クチュリエブログ
穴や透け感を作る模様編み
透かし編み
透かし編みは、掛け目と減らし目を組み合わせ、編み地に意図的な穴を作る技法です。
英語では、レースニッティングやレースパターンなどと表現されます。
葉、花、波、羽根、ひし形など、さまざまな模様を作れるのが魅力です。
通気性がよく軽やかな印象になるため、春夏用のセーターやカーディガンに向いています。
ウールやモヘアなどの毛糸で編めば、秋冬用の軽やかなセーターにも仕上げられます。
掛け目で目数を増やした場合は、基本的に減らし目を組み合わせて全体の目数を調整します。
掛け目と減らし目の対応を間違えると目数が変わるため、段ごとの確認が重要です。
リーフ模様
リーフ模様は、掛け目と減らし目を使って、葉の輪郭や葉脈を表現する透かし模様です。
自然な曲線が生まれ、柔らかく上品な印象になります。
前身頃、袖、ヨークなどに縦方向へ配置されることが多い模様です。
掛け目や減らし目の位置がずれると葉の形が崩れるため、模様の中心を確認しながら編み進めます。
波模様・シェブロン模様
波模様は、増し目と減らし目を規則的に配置し、編み地に波打つようなラインを作る模様です。
山形がはっきりしたものは、シェブロン模様やジグザグ模様と呼ばれることもあります。
単色でも模様を表現できますが、数段ごとに色を切り替えると、波やジグザグの形が強調されます。
編み方によっては裾が波形になるため、完成時のシルエットも確認しておきましょう。
フェザーアンドファン
フェザーアンドファンは、掛け目と減らし目を一定の間隔で繰り返し、波状の透かし模様を作るパターンです。
似た模様としてオールドシェイルがありますが、両者は書籍や地域によって混同されることがあります。
日本の編み物資料では、似た波状模様が孔雀模様などの名称で紹介される場合もあります。
名称だけでは編み方を特定できないため、実際の編み図、模様単位、必要な目数を確認することが大切です。
ドロップステッチ
ドロップステッチは、主に掛け目を作り、次の段でその掛け目を針から外すことで、縦に長く伸びた編み目を作る技法です。
編み地に大きな隙間や透け感が生まれるため、春夏用セーターや重ね着用のプルオーバーに向いています。
デザインによっては、指定された編み目を意図的に下の段まで落とす方法もあります。
ただし、通常の編み目を誤って落とすと、必要以上に下までほどける可能性があります。
どの目を針から外すのか、編み図をよく確認して作業しましょう。
複数の色を使った模様編み
編み込み模様
編み込み模様は、2色以上の毛糸を使って、編み地に図柄を作る技法です。
雪の結晶、花、動物、星、幾何学模様などを表現できます。
代表的な方法には、使用していない糸を編み地の裏側に渡す編み込みと、色のまとまりごとに別の糸を使うインターシャがあります。
使う技法によって、編み地の厚み、伸縮性、裏側の状態が異なります。
フェアアイル模様
フェアアイル模様は、スコットランドのシェトランド諸島に属するフェア島に由来する伝統的な多色編みです。
横方向に並ぶ幾何学的なモチーフと、繊細な色の組み合わせを特徴とします。
伝統的なフェアアイル編みでは、通常、1段の中で2色を使い、作品全体ではさらに多くの色を組み合わせます。
使っていない色の糸を裏側に渡しながら編むため、編み地に適度な厚みが生まれます。
渡り糸を強く引きすぎると編み地が縮み、緩すぎると指やアクセサリーが引っかかりやすくなります。
現代のファッション分野では、フェア島の伝統的な技法に限らず、横方向に連続する多色の幾何学柄が広く「フェアアイル柄」と呼ばれることがあります。
ノルディック模様
ノルディック模様は、北欧各地の伝統柄や、それらをもとにした北欧風の編み込み柄を広く指す言葉です。
特定の一つの編み方を指す技法名ではありません。
雪の結晶、星、トナカイ、木、幾何学模様などが代表的です。
白、赤、紺、グレーなど、色の差が分かりやすい配色がよく使われます。
ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、デンマーク、アイスランドなどには、それぞれ異なる編み物文化があります。
そのため、北欧風の模様をすべて同じ伝統柄として扱うのではなく、地域ごとの違いを意識することが大切です。
ロパペイサ
ロパペイサは、アイスランド羊毛から作られたロピ毛糸を使い、肩から首元にかけて円形の模様を配置したセーターです。
日本では、ロピーセーターやアイスランドセーターと呼ばれることもあります。
ロピは毛糸を表す名称で、ロパペイサはアイスランド式のセーターを表す名称です。
伝統的なロパペイサは、身頃と袖を輪に編み、ヨーク部分でつなげる構造が代表的です。
アイスランド羊毛には、柔らかな内側の繊維と丈夫な外側の繊維があり、軽さと保温性を両立しやすい特徴があります。
ただし、使用するロピ毛糸の種類によって、太さ、肌触り、重量は異なります。
インターシャ編み
インターシャ編みは、色のまとまりごとに別の毛糸を用意し、色の境目で糸を絡ませながら編む方法です。
裏側に色糸を長く渡さないため、大きな図柄や広い色面を作るのに適しています。
動物、人物、ロゴ、花、大きな幾何学図形などを、セーターの中央に配置するときに使われます。
色の数が増えると複数の糸玉を同時に扱うことになり、糸が絡まりやすくなります。
また、色の境目で糸を適切に交差させないと穴が開くため、糸の切り替え方が重要です。
アーガイル模様
アーガイル模様は、複数のひし形と斜めの細い線を組み合わせた柄です。
スコットランドと結びついた伝統的な柄として知られ、セーター、カーディガン、ベストなどに使われています。
手編みでは、ひし形の色面をインターシャで編み、斜めの線を後から刺しゅうする方法があります。
すべてを編み込みで表現する方法もありますが、裏側の渡り糸や編み地の厚みに注意が必要です。
上品でクラシックな印象があり、シャツやジャケットとも合わせやすい模様です。
すべり目を使った模様編み
すべり目模様
すべり目とは、編み目を編まずに右針へ移す操作です。
すべり目と表編み、裏編みを組み合わせることで、縦線、格子、蜂の巣状などの模様を作れます。
編まずに移した目は縦方向に長く見えるため、比較的簡単な操作でも複雑な模様を表現できます。
色を段ごとに替えると、複数の色糸を同時に持たなくても配色模様を作れます。
ただし、すべり目が多い編み地は縦方向に詰まりやすく、一般的なメリヤス編みとはゲージが異なります。
モザイク編み
モザイク編みは、色を一定の段数ごとに切り替え、すべり目を使って幾何学的な配色模様を作る技法です。
多くのパターンでは、1段または2段につき1色だけを扱います。
複数の色糸を同時に持つ編み込みよりも、糸を管理しやすいのが特徴です。
すべり目の部分には短い渡り糸ができますが、一般的な編み込みのように未使用の色糸を段全体にわたって持ち続ける必要はありません。
模様や糸の置き方によっては、渡り糸をあえて表側に出してデザインの一部にすることもあります。
リネンステッチ
リネンステッチは、すべり目と糸の位置を組み合わせ、織物のような細かな編み地を作る技法です。
多色で編むと、細かな色が重なり、複雑な織物のように見えます。
編み地は比較的密度が高く、一般的なメリヤス編みより伸縮性が少ない傾向があります。
セーター全体に使うほか、裾、前立て、ポケット、ヨークなどのアクセントにも使えます。
特殊な構造を使った模様編み
ブリオッシュ編み
ブリオッシュ編みは、掛け目とすべり目などを組み合わせ、厚みと弾力のあるリブ状の編み地を作る技法です。
2色で編むと、表側と裏側で色の見え方が変わり、立体的な縦線が際立ちます。
柔らかく暖かいセーターに向いていますが、一般的なメリヤス編みより毛糸の使用量が多くなります。
また、目を落としたときに編み地の構造を確認しにくく、修復が難しい点にも注意が必要です。
日本のイギリスゴム編みと似ていますが、編み方や構造が完全に同じとは限りません。
フィッシャーマンズリブ
フィッシャーマンズリブは、厚みと伸縮性のあるリブ状の編み地です。
下の段の目に針を入れて編む方法などによって、ふっくらとした縦畝を作ります。
完成した編み地はブリオッシュ編みに似ていますが、編み進め方や編み目の構造には違いがあります。
防寒用のセーター、マフラー、ネックウォーマーなどに向いています。
エンターラック編み
エンターラック編みは、小さな長方形や正方形を順番に編みつなぎ、籠目やパッチワークのような模様を作る技法です。
複数の編み地を後から縫い合わせるのではなく、目を拾いながら一続きに編み進めます。
ブロックごとに色を替えると、よりパッチワークらしいデザインになります。
セーター全体に使うと存在感が強くなるため、ヨーク、袖、裾などに部分的に取り入れる方法もあります。
ダブルニッティング
ダブルニッティングは、表側と裏側を同時に編み、二重構造の編み地を作る技法です。
2色で編むと、表裏で配色が反転した模様を作ることもできます。
編み地の両面を美しく仕上げられるほか、厚みと保温性が高くなることが特徴です。
ただし、通常の編み地より毛糸を多く使い、セーターにすると重くなる場合があります。
なお、英語の「double knitting」は、地域や文脈によって毛糸の太さを表すこともあるため、編み地の技法なのか毛糸の分類なのかを確認しましょう。
地域や文化と結びついた模様
ガーンジー模様
ガーンジー模様は、イギリス海峡のガーンジー島などと結びついた漁師用セーターに見られる模様です。
表目と裏目を組み合わせた横線、格子、ダイヤ、梯子状などの細かな凹凸が代表的です。
ケーブル編みほど大きな立体感を出さず、実用的で控えめな模様を作ります。
落ち着いた印象があり、メンズセーターやユニセックスのデザインにも向いています。
なお、「ガーンジー」や「ガンジー」と呼ばれるセーターと、イギリス各地の漁師用セーターを指す「ガンジー」には、地域や資料によって名称の使い方に幅があります。
カウチンセーター
本来のカウチンセーターは、カナダの先住民族であるカウチンの人々によって生み出された、固有の文化的背景を持つ編み物です。
太い毛糸を使った厚い編み地や、動物、鳥、幾何学的なモチーフなどが特徴として知られています。
本来のカウチンセーターでは、一続きに編む構造も重要な特徴です。
市販品には、太い毛糸や動物柄など、外観上の特徴だけを取り入れた「カウチン風セーター」もあります。
カウチン風の市販品と、カウチンの人々が作る本来のセーターは、素材、製法、文化的背景が異なるため、区別して説明しましょう。
初心者におすすめの模様編み
鹿の子編みから始める
初めて模様編みのセーターに挑戦する場合は、鹿の子編みがおすすめです。
表編みと裏編みを交互に編むため、基本操作を練習しながら模様を作れます。
凹凸があるので多少の編み目の不ぞろいが目立ちにくく、端も比較的丸まりにくい編み方です。
ゴム編みで表目と裏目の切り替えに慣れる
1目ゴム編みや2目ゴム編みも、初心者が挑戦しやすい模様です。
多くのセーターでは裾、袖口、襟に使われるため、身につけておくと役立ちます。
表目と裏目を切り替えるときは、糸を針の間から前後に移動させます。
針の上を越えるように糸を動かすと、意図しない掛け目ができることがあるため注意しましょう。
慣れたら簡単なケーブルや透かし編みに挑戦する
基本の表編みと裏編みに慣れたら、4目程度のケーブルや、模様単位が小さい透かし編みに挑戦するとよいでしょう。
最初からセーター全体に複雑な模様を入れる必要はありません。
前身頃の中央、袖、ヨークなどに限定して模様を配置すると、作業量を抑えながらデザイン性を高められます。
編み込みは小さな作品で練習する
フェアアイルやノルディック風の編み込みに挑戦する場合は、帽子、ネックウォーマー、アームウォーマーなどで練習するのがおすすめです。
編み込みでは、裏側に渡す糸の張り具合が仕上がりを大きく左右します。
渡り糸を強く引くと編み地が縮み、緩めすぎると糸が引っかかりやすくなります。
小さな作品で糸の持ち方を確認してからセーターを編むと、失敗を減らせます。
セーターの模様編みを選ぶポイント
毛糸の色に合わせる
ケーブルやアラン模様などの凹凸は、白、生成り、ベージュ、ライトグレーなど、比較的明るい単色で編むと陰影が見えやすくなります。
黒や濃紺などの暗い色は落ち着いた印象になりますが、細かな凹凸が見えにくくなる場合があります。
色の変化が大きい段染め糸では、複雑な立体模様が目立たなくなることもあります。
毛糸の色を主役にしたい場合は、メリヤス編み、ガーター編み、単純なすべり目模様などが適しています。
毛糸の太さと毛足を確認する
ケーブル、鹿の子、ワッフルなどの凹凸をはっきり見せたい場合は、編み目が見えやすいストレートヤーンが適しています。
モヘアや起毛糸のように毛足の長い毛糸は柔らかな印象になりますが、細かな模様が毛に隠れやすくなります。
極太糸で複雑な模様を編むと、厚みや重さが出すぎることがあります。
反対に細い糸は、繊細な透かし模様や細かな編み込みに向いていますが、必要な目数が多くなり、完成までに時間がかかります。
着用する季節から選ぶ
冬の防寒用セーターには、ケーブル、アラン、編み込み、ブリオッシュ、フィッシャーマンズリブなど、厚みが出やすい模様が向いています。
春夏用のセーターには、透かし編み、ドロップステッチ、細い糸を使った鹿の子編みなどが適しています。
ただし、暖かさは模様だけで決まるものではありません。
毛糸の素材、太さ、密度、セーターのゆとり、重ね着の方法によっても変わります。
着用場面から選ぶ
日常的に着用するセーターでは、バッグ、上着、アクセサリーなどとの摩擦を考える必要があります。
大きなボッブル、長い渡り糸、大きく開いた透かし模様は、物に引っかかる可能性があります。
家事や仕事で頻繁に腕を動かす場合は、袖の外側に大きな立体模様を配置しないほうが扱いやすいこともあります。
模様による伸縮性の違いを考える
模様編みは、種類によって伸び方が異なります。
ゴム編みは横方向に伸びやすい一方、ケーブルやすべり目模様は横幅が縮みやすい傾向があります。
透かし編みやガーター編みは柔らかく伸びやすく、着用や洗濯によって丈が変化することもあります。
異なる模様を組み合わせる場合は、それぞれの模様の伸縮性とゲージを確認しましょう。
模様編みセーターを編むときの注意点
実際の模様でゲージを取る
ゲージとは、一般的に10cm四方の中に何目・何段入るかを示す数値です。
同じ毛糸と針を使っても、メリヤス編み、ケーブル編み、鹿の子編みではゲージが異なります。
模様編みのセーターを作る場合は、実際に使用する模様で試し編みを作りましょう。
試し編みは測定する範囲よりも大きく編み、端を避けて中央部分を測ります。
完成品を水通しする場合は、試し編みも同じ方法で水通しし、形を整えて完全に乾かしてから測定します。
模様単位の目数を確認する
模様編みには、一定の目数と段数を繰り返す「模様単位」があります。
たとえば8目で一模様を繰り返す場合は、基本的に模様部分を8の倍数で構成します。
ただし、身頃全体の目数は、端目、脇の目、中心合わせ、前立てなどを加えて決めます。
そのため、身頃の総目数が必ず8の倍数になるとは限りません。
左右対称に仕上げたい場合は、セーターの中心と模様の中心が合っているかも確認しましょう。
増し目と減らし目の位置に注意する
袖ぐり、襟ぐり、袖山などでは、セーターの形を作るために増し目や減らし目を行います。
模様編みの途中で目数が変わると、模様の規則性が崩れる場合があります。
特に透かし編みでは、掛け目と減らし目が一組になっていることが多いため、片方だけを編まないように注意が必要です。
端の部分で模様を完成させられない場合は、無理に模様を続けず、メリヤス編みなどに切り替えることもあります。
毛糸は余裕を持って用意する
ケーブル、アラン、鹿の子、ブリオッシュなどの立体的な模様は、一般的にメリヤス編みより毛糸の使用量が増えやすくなります。
ただし、増加する量は模様、サイズ、毛糸の太さ、ゲージによって異なるため、一律には決められません。
指定の編み図がある場合は、記載されている使用量を基準にします。
オリジナルデザインの場合は、大きめの試し編みを作り、使用した毛糸の重さから全体量を計算すると確実です。
同じ色番号の毛糸でも製造ロットによって色味が異なることがあるため、必要量をできるだけまとめて購入しましょう。
模様編みセーターのお手入れ方法
市販の模様編みセーターを洗うときは、最初に洗濯表示を確認します。
手編みのセーターに洗濯表示がない場合は、使用した毛糸の帯に記載された取り扱い方法を確認しましょう。
家庭で洗える場合でも、強く揉んだり擦ったりすると、編み目が伸びたり、ウールがフェルト化したりする可能性があります。
洗浄後はタオルで水分を取り、平らな場所で形を整えて干すのが基本です。
透かし編み、ガーター編み、ブリオッシュ編みなどは、水分を含むと重くなり、自重で伸びることがあります。
そのため、ハンガーに掛けた状態で干すのは避けたほうが安全です。
ケーブルやアラン模様をアイロンで強く押さえると、立体的な凹凸がつぶれる可能性があります。
スチームを使用できる素材であれば、アイロンを直接押し当てず、少し浮かせて蒸気を当てながら形を整えます。
まとめ
セーターの模様編みには、鹿の子編み、ゴム編み、ケーブル編み、アラン模様、透かし編み、フェアアイル、ノルディック模様、インターシャ、モザイク編み、ブリオッシュ編みなどがあります。
表目と裏目だけで作れる模様もあれば、交差編み、掛け目、すべり目、複数の色糸を使う高度な技法もあります。
初心者は、鹿の子編みやゴム編みから始め、慣れてからケーブル、透かし編み、編み込みへ進むと無理なく技術を身につけられます。
デザインだけでなく、着用する季節、毛糸の特徴、お手入れのしやすさまで考えて選ぶことで、見た目と着心地を両立した模様編みセーターに仕上げられます。
以上、セーターの模様編みの種類についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

