デッキシューズの紐は、一般的なスニーカーのように蝶結びにするだけでなく、紐の先端をコンパクトにまとめる独特の結び方を楽しめるのが特徴です。
なかでも代表的なのが、紐を筒状に巻いて仕上げる「バレルノット」です。
デッキシューズは、甲部分だけでなく履き口の周囲にも紐が通っているモデルが多く、紐の結び方によって見た目やフィット感が変わります。
紐の素材や長さ、着脱のしやすさなどを考慮し、自分に合った方法を選ぶことが大切です。
デッキシューズで定番のバレルノット
バレルノットとは
バレルノットは、紐の先端を数回巻き付けて、円筒状の結び目を作る方法です。
「バレル」は英語で樽を意味し、完成した結び目が小さな樽のように見えることから、この名前で呼ばれています。
大きなリボンができないため、紐の先端をすっきりとまとめられるのが特徴です。
革紐を使用したクラシックなデッキシューズとの相性がよく、マリンテイストの足元を演出できます。
ただし、バレルノットは左右の紐を結び合わせて甲を締める方法ではありません。
あらかじめ紐の締め具合を調整し、左右それぞれの紐先を固定する結び方です。
バレルノットの結び方
最初にデッキシューズを履き、足の甲に圧迫感が出ない程度に紐の締め具合を調整します。
歩いたときに靴の中で足が大きく動かず、甲が苦しくない状態が目安です。
次に、片方の紐を折り返し、細長い輪を作ります。
作った輪を軽くひねり、紐を巻き付けるための芯を作ります。
残った紐の先端を、輪の付け根側から先端側へ向かって4〜5回程度巻き付けます。
巻く回数は、紐の長さや太さに合わせて調整してください。
巻き終わったら、紐の先端を輪の先に残っている小さな開口部へ通します。
紐の先端を引きながら巻いた部分を整え、円筒状の結び目を作ります。
反対側も同じ手順で結び、左右の大きさと高さをそろえれば完成です。
バレルノットをきれいに仕上げるコツ
巻き付ける部分が重ならないように、一列に並べると整った形になります。
革紐はねじれやすいため、表面の向きを確認しながら巻き付けましょう。
左右の紐の長さが異なる場合は、結ぶ前に履き口や甲部分の紐を少しずつ動かして調整します。
一か所だけを強く引っ張ると、靴の形が崩れたり、革紐に負担がかかったりすることがあります。
また、結び目を強く締めすぎると、あとでほどきにくくなります。
形が崩れない程度の力で締め、紐先を必要以上に短くしないことがポイントです。
蝶結びで結ぶ方法
基本的な蝶結び
デッキシューズは、一般的な靴と同じように蝶結びで履くこともできます。
蝶結びは締め具合を調整しやすく、靴を履くたびに紐を結び直したい人に適した方法です。
まず、左右の紐を交差させ、片方の紐を下から通して一度結びます。
次に、片方の紐で輪を作ります。
もう片方の紐を輪の周囲に回し、中央にできた隙間へ通して反対側の輪を作ります。
左右の輪を横方向へ引き、中央の結び目を整えれば完成です。
蝶結びが縦向きになる場合の対処法
正しく結べた蝶結びは、左右の輪が靴の横方向へ伸びる形になります。
輪が縦方向を向いたり、結び目が傾いたりする場合は、最初の一重結びと、輪を絡める際の交差方向が同じになっている可能性があります。
2回の交差を反対方向にすると、結び目が安定し、輪が横向きに収まりやすくなります。
例えば、最初に右の紐を左の紐の上から交差させた場合は、輪を結ぶ工程では反対方向に交差させるよう意識します。
蝶結びをほどけにくくする方法
デッキシューズの革紐は、硬さや表面の状態によっては、一般的な綿製の平紐より蝶結びが安定しにくい場合があります。
ほどけやすいときは、蝶結びを作ったあと、左右の輪をもう一度結ぶ方法が簡単です。
結び目は安定しますが、強く締めるとほどきにくくなるため注意してください。
見た目をすっきりさせたい場合は、左右の輪を小さめに作り、紐の先端が地面へ垂れない長さに整えます。
参考サイト
靴紐の結び方(蝶結び・イアンノット・ベルルッティ結び)を解説します
デッキシューズに合うそのほかの結び方
チェーンノット
チェーンノットは、紐を連続した輪のように編み込み、鎖状に仕上げる結び方です。
余った紐をデザインの一部として見せられるため、バレルノットとは異なる印象を楽しめます。
片方の紐で小さな輪を作り、その輪の中へ次の輪を通す作業を繰り返します。
最後に紐の先端を最後の輪へ通し、形を整えれば完成です。
紐の長さがある程度必要になるため、短い革紐では作りにくいことがあります。
タッセルノット
タッセルノットは、紐の先端を巻いて房飾りのように見せる結び方です。
装飾性が高く、デッキシューズを華やかな印象に仕上げられます。
ただし、バレルノットよりも結び目が大きくなりやすいため、左右のバランスを整えることが重要です。
長さに余裕のある柔らかい紐に向いています。
ベルルッティ結び
ベルルッティ結びは、通常の蝶結びを応用し、結び目を安定させる方法です。
左右の輪を作ったあと、それぞれの輪を中央の結び目へ通し直して締めます。
通常の蝶結びよりも中央部分が安定しやすく、ほどけにくいのが特徴です。
ただし、ベルルッティ結びは本来ドレスシューズで知られている結び方で、デッキシューズ特有の方法ではありません。
太く硬い革紐では輪を通しにくく、結び目が大きくなることがあります。
デッキシューズらしい外観を重視する場合は、バレルノットのほうが適しています。
イアン・ノット
イアン・ノットは、左右の手で輪を同時に作り、素早く蝶結びを完成させる方法です。
慣れると短時間で結べ、左右の輪も比較的そろえやすくなります。
ただし、デッキシューズに使われる太く硬い革紐では、柔らかいスニーカー用の紐ほどスムーズに操作できない場合があります。
革紐が使い込まれて柔らかくなってから試すとよいでしょう。
紐を結ぶ前に調整するポイント
左右の紐の長さをそろえる
左右の紐の長さが大きく異なると、結び目の大きさや位置も不ぞろいになります。
デッキシューズには、紐が履き口の周囲まで通された360度レーシング構造を採用したモデルがあります。
この構造では、甲部分だけを引っ張っても、左右の紐の長さをうまくそろえられないことがあります。
かかと側から側面、甲部分へ向かって、少しずつ紐を送るように調整しましょう。
足に合った締め具合にする
デッキシューズは、もともと濡れた船の甲板で滑りにくくするために開発された靴です。
360度レーシングを採用したモデルでは、紐を調整することで履き口から甲まわりのフィット感を変えられます。
紐を締めすぎると、足の甲に圧迫感や痛みが生じます。
反対に緩すぎると、靴の中で足が動き、靴擦れにつながる可能性があります。
実際に靴を履いて数歩歩き、足の甲や履き口に違和感がないか確認してから結びましょう。
紐を締めてもかかとが大きく浮く場合は、結び方ではなく、靴のサイズや靴型が足に合っていない可能性があります。
結び目の位置を整える
バレルノットは、甲の左右に出ている紐の先端へ作ります。
左右の結び目の高さ、大きさ、巻く回数をそろえると、足元が整って見えます。
結び目を大きく作りすぎると、左右の結び目が触れたり、デザインが重たく見えたりすることがあります。
巻き数を調整し、アイレット付近にコンパクトに収めましょう。
紐の素材による結びやすさの違い
革紐
革紐は、クラシックなデッキシューズでよく使われる素材です。
ローハイドなどの革紐は、レザーアッパーとの相性がよく、伝統的な印象を与えます。
一方、新品の革紐は硬かったり、表面が滑らかだったりするため、蝶結びが安定しにくいことがあります。
使用を重ねて革がなじむと、次第に曲げやすくなります。
無理に引っ張ったり、強くねじったりすると、伸びやひび割れの原因になるため注意してください。
綿製の紐
綿製の紐は柔らかく、表面に摩擦が生じやすいため、蝶結びでも比較的安定しやすい素材です。
キャンバス素材のデッキシューズや、カジュアルなデザインによく合います。
一方で、水分を吸収しやすく、汚れが付着しやすい点には注意が必要です。
濡れたまま強く結んで放置すると、乾燥後に結び目が固くなることがあります。
化学繊維製の紐
ポリエステルやナイロンなどの化学繊維製の紐は、水に強く、乾きやすいのが特徴です。
水辺で使う機会が多いモデルや、スポーティーなデッキシューズに適しています。
ただし、表面が滑らかな紐は、結び目が緩みやすい場合があります。
素材だけで判断せず、紐の太さや表面加工、結び目の安定性を確認しましょう。
バレルノットをほどく方法
バレルノットは、強く締めすぎるとほどきにくくなります。
ほどく際に紐の先端だけを強く引っ張ると、結び目がさらに固くなる可能性があります。
まず、円筒状になった巻き部分を指で軽く曲げ、外側から少しずつ緩めます。
巻き付けた紐の隙間を広げ、最後に輪へ通した紐先をゆっくり引き抜きましょう。
指で緩めにくい場合は、先端が丸い紐通しなどを使用します。
針や鋭利な金属工具を使うと、革紐の表面を傷つける可能性があるため避けてください。
革紐を水で濡らすと、シミや色落ち、乾燥後の硬化が起こることがあります。
基本的には乾いた状態で、時間をかけて少しずつほどくのが安全です。
デッキシューズの紐を交換する方法
古い紐の通し方を記録する
デッキシューズの紐を交換する場合は、古い紐を外す前に通し方を確認します。
360度レーシングの構造や紐を通す方向は、ブランドやモデルによって異なります。
甲部分だけでなく、側面やかかとまわりも複数の角度から撮影しておくと安心です。
一度にすべての紐を外すのが不安な場合は、片方の靴を見本として残し、もう片方から交換すると通し方を確認しやすくなります。
新しい紐を元と同じ経路へ通す
新しい紐は、古い紐と同じ経路、同じ向きで通すのが基本です。
特定の位置から通し始める方法が、すべてのデッキシューズに共通しているわけではありません。
撮影した写真を確認しながら、一つずつアイレットや紐通し部分へ通しましょう。
履き口の内部にある細い通路へ革紐を通す場合は、デッキシューズ用のレーシングニードルや紐通しがあると便利です。
先端の鋭い工具を無理に押し込むと、靴本体や革紐を傷つける可能性があります。
交換用の紐を選ぶ
交換用の紐は、元の紐を外して長さを測り、同程度のものを選ぶのが基本です。
360度レーシングでは、一般的なスニーカーより長い紐が必要になる場合があります。
モデルによっては、1足に2本の独立した紐を使用します。
購入前に、長さだけでなく、必要な本数、太さ、断面の形、素材も確認しましょう。
専用の紐通しが必要なモデルでは、道具が付属した交換用キットを選ぶと作業しやすくなります。
デッキシューズの紐がほどけやすい場合の対策
結び方を変える
普通の蝶結びがほどけやすい場合は、左右の輪をもう一度結ぶ方法や、ベルルッティ結びを試す方法があります。
余った紐を踏まないようにしたい場合は、バレルノットで左右の紐先をコンパクトにまとめるのが適しています。
ただし、バレルノットは靴を履くたびに甲を締め直す結び方ではありません。
フィット感を事前に整えたうえで使用しましょう。
革紐を無理なくなじませる
新品の革紐は、硬さがあるため結びにくいことがあります。
使用前に指で軽く曲げ伸ばしすると、扱いやすくなる場合があります。
強く引っ張ったり、同じ部分を繰り返し折り曲げたりすると、革が傷む原因になります。
革紐へクリームやオイルを使用すると、色が濃くなったり、質感が変わったりすることがあります。
使用する場合は、靴や紐のメーカーが推奨する製品を選び、目立たない部分で試してください。
劣化した紐を交換する
革紐や繊維製の紐は、使用を重ねると摩耗します。
表面に深い亀裂がある場合や、一部が細くなっている場合は、歩行中に切れる可能性があります。
結び目が保持できないほど硬化している紐や、アイレット周辺で著しく擦れている紐も交換の目安です。
紐が切れてからではなく、劣化の兆候が見られた段階で交換すると安心です。
デッキシューズの紐を扱う際の注意点
強く締めすぎない
紐を強く締めすぎると、足の甲や履き口に痛みが生じることがあります。
特にバレルノットは、強く締めると結び目が固まり、ほどきにくくなります。
足が靴の中で大きく動かず、圧迫感もない状態を目安に調整しましょう。
濡れた革紐を強く締めたまま乾かさない
革紐が雨や海水で濡れた場合は、強く締めたまま放置しないようにします。
結び目を軽く緩め、形を整えてから、風通しのよい日陰で自然乾燥させましょう。
ドライヤー、ストーブ、直射日光などで急速に乾かすと、革の硬化やひび割れにつながる可能性があります。
海水が付着した場合は、靴の取扱表示やメーカーの手入れ方法を確認し、素材に合った方法でケアしてください。
接着剤で固定しない
紐がほどけやすくても、結び目を接着剤で固定するのは避けましょう。
紐の締め具合を調整できなくなり、交換も難しくなります。
接着剤が革や生地へ付着すると、変色や硬化を起こす可能性もあります。
ほどけやすい場合は、結び方の変更や紐の交換で対処するのが基本です。
デッキシューズに合う結び方の選び方
見た目を重視する場合
デッキシューズらしいクラシックな外観を重視する場合は、バレルノットが適しています。
紐先がコンパクトにまとまり、モカシン縫いや360度レーシングのデザインを引き立てられます。
チェーンノットやタッセルノットを選ぶと、より装飾的な印象になります。
着脱のしやすさを重視する場合
毎回紐を緩めて靴を脱ぎ履きしたい場合は、一般的な蝶結びが使いやすいでしょう。
締め具合を細かく調整できるため、長時間歩く日にも向いています。
頻繁にほどける場合は、蝶結びの輪をもう一度結ぶ方法などを取り入れます。
ほどけにくさを重視する場合
蝶結びの見た目を保ちながら安定性を高めたい場合は、ベルルッティ結びが選択肢になります。
ただし、太く硬い革紐では結びにくい場合があります。
余った紐を踏みにくくしたい場合は、バレルノットで短くまとめる方法が適しています。
紐の素材や長さによって向いている方法が異なるため、実際に試して選ぶことが大切です。
まとめ
デッキシューズの紐の結び方として、特に代表的なのがバレルノットです。
紐の先端を数回巻き付けて円筒状にまとめるため、デッキシューズらしいすっきりとした足元に仕上がります。
一方、着脱やフィット感の調整を重視する場合は、一般的な蝶結びが便利です。
蝶結びがほどけやすい場合は、左右の輪をもう一度結ぶ方法や、ベルルッティ結びを取り入れる方法があります。
きれいに結ぶためには、結ぶ前に左右の紐の長さと締め具合を整えることが重要です。
360度レーシングのモデルでは、履き口から甲部分まで紐がつながっているため、一か所を強く引かず、少しずつ調整しましょう。
革紐は、強く締めすぎたり、濡れたまま乾かしたりすると、硬化やひび割れの原因になることがあります。
紐の素材、靴の構造、着脱の頻度、好みの見た目に合わせて、適切な結び方を選びましょう。
以上、デッキシューズの紐の結び方についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

