デッキシューズの紐は、甲部分だけに通されているタイプと、履き口の周囲まで革紐が通されているタイプに分けられます。
特にクラシックなデッキシューズでよく見られるのが、革紐が靴の側面からかかと周辺まで通された「360度レーシングシステム」です。
360度レーシングは、デッキシューズらしい見た目を作る装飾としてだけでなく、履き口を絞ってフィット感を調節する役割も持っています。
ただし、すべてのデッキシューズが同じ構造になっているわけではありません。
甲部分の紐だけを交換できるモデルもあれば、甲部分と履き口の革紐が1本につながっているモデルもあります。
紐を通し直すときは、最初に自分のデッキシューズがどのような構造になっているかを確認することが大切です。
デッキシューズの紐を通す前に確認すること
デッキシューズの紐は、一般的なスニーカーよりも通し方が分かりにくい場合があります。
特に360度レーシングを採用したモデルは、革紐が靴の内部や側面の革製トンネルを通っているため、何も確認せずに外すと元の状態へ戻せなくなる可能性があります。
紐を外す前に写真を撮る
紐を外す前に、スマートフォンなどで現在の状態を撮影しておきましょう。
甲部分だけでなく、靴の外側、内側、かかと側も撮影しておくと、紐を通し直すときの参考になります。
360度レーシングはメーカーやモデルによって経路が異なるため、元の状態を記録しておくことが最も確実です。
片方の靴を見本として残す
左右の靴を同時に外すのではなく、片方ずつ作業する方法も有効です。
一方の靴を完成見本として残しておけば、アイレットへ通す方向や紐の交差位置を確認できます。
左右の紐の重なり方もそろえやすくなるため、見た目をきれいに仕上げられます。
紐の長さと太さを測る
紐を交換する場合は、外した紐の長さと太さを測っておきましょう。
甲部分だけに使う紐と、履き口を一周する360度レーシング用の紐では、必要な長さが大きく異なります。
交換用の紐を見た目だけで選ぶと、長さが足りなかったり、太すぎて穴に通らなかったりすることがあります。
甲部分の基本的な紐の通し方
甲部分に左右のアイレットがあるデッキシューズでは、紐を交差させるクロス通しが一般的です。
ただし、クラシックなデッキシューズには2アイレットや3アイレットのモデルが多く、スニーカーのように何段も紐を編み上げるとは限りません。
購入時と同じ通し方を再現するのが、最も自然で失敗しにくい方法です。
一番下のアイレットへ紐を通す
最初に、つま先側に近い左右のアイレットへ紐を通します。
紐の左右の長さがほぼ同じになるように調整してください。
左右の長さが大きく異なると、最後にリボン結びやバレルノットを作りにくくなります。
革紐は布製の靴紐より滑りにくいため、通し始めの段階で丁寧に長さをそろえることが重要です。
左右の紐を交差させる
右側から出ている紐を左側のアイレットへ通し、左側から出ている紐を右側のアイレットへ通します。
甲部分に「X」の形ができるように交差させると、一般的なクロス通しになります。
左右で紐の上下関係が異なると、完成時の見た目に違和感が出ることがあります。
右側の紐を常に上にするなど、交差させる順番を左右の靴で統一しましょう。
革紐のねじれを直す
平たい革紐やローハイド製の紐は、通している途中でねじれやすい傾向があります。
アイレットを一つ通すたびに、紐の表面が正しい方向を向いているか確認してください。
紐がねじれたまま強く締めると、見た目が崩れるだけでなく、紐に不自然な癖が付くことがあります。
締め具合を調節する
紐を通し終えたら、実際にデッキシューズを履いて締め具合を調節します。
甲部分だけを一度に強く引くのではなく、つま先側から順番に少しずつ紐を引いてください。
足の甲や履き口に痛みを感じず、歩いたときにかかとが大きく浮かない程度が目安です。
締めすぎると、足の甲が圧迫されたり、アイレット周辺の革へ負担がかかったりするため注意しましょう。
360度レーシングの紐を通す方法
360度レーシングとは、革紐が甲部分だけでなく、靴の側面からかかと周辺まで通っている構造です。
革紐を引くことで履き口を絞り、足に合わせてフィット感を調節できます。
ただし、紐を通し始める位置や内部の経路は、ブランドやモデルによって異なります。
必ずしも、かかとの中央から通し始めるわけではありません。
元の紐が通っていた経路を確認する
最初に、革紐がどの穴や革製トンネルを通っているかを確認します。
紐の一部が靴の内側へ隠れている場合は、無理に引っ張らず、少しずつ動かしてください。
購入時の写真、反対側の靴、メーカーの商品画像なども参考になります。
360度レーシングでは、一般的な通し方を無理に当てはめるよりも、元の経路をそのまま再現することが重要です。
専用のレーシングニードルを取り付ける
革紐は太く柔らかいため、そのままでは細い革製トンネルへ通しにくいことがあります。
その場合は、革紐用のレーシングニードルやレースニードルを使用すると便利です。
レーシングニードルは、革紐の先端を固定し、針のような形にして穴やトンネルへ通すための道具です。
使用するときは、ニードルの先端で靴本体の革を傷つけないよう、ゆっくりと作業してください。
側面の穴や革製トンネルへ通す
元の経路に沿って、革紐を側面の穴や革製トンネルへ通します。
片側だけを一気に最後まで進めると、左右の長さに差が出ることがあります。
右側と左側を交互に少しずつ進めると、紐の長さを均等に保ちやすくなります。
革紐が途中で引っ掛かった場合は、強く引かずに前後へ軽く動かしてください。
無理に引っ張ると、紐の表面が傷んだり、革製トンネルが広がったりする可能性があります。
甲部分のアイレットへつなげる
履き口の周囲へ革紐を通したら、甲部分のアイレットへつなげます。
左右の紐を交差させるタイプが一般的ですが、アイレット数や紐の出る位置はモデルによって異なります。
元の状態と同じ方向から通し、左右の重なり方を統一してください。
甲部分へ通したあと、左右の紐の長さが極端に異なる場合は、側面部分から少しずつ紐を送り直して調節します。
履いた状態で全体を調節する
紐を通し終えたら、デッキシューズを履いて全体のフィット感を確認します。
甲部分だけでなく、かかと、側面、履き口の順番に少しずつ紐を動かしてください。
履き口を適度に絞ると、歩行時のかかとの浮きを抑えやすくなります。
ただし、強く締めすぎると、くるぶし周辺へ革紐が当たり、靴ずれや痛みの原因になることがあります。
デッキシューズに適した紐の結び方
デッキシューズの革紐は、一般的なリボン結びだけでなく、革紐をコンパクトにまとめる結び方も選べます。
履きやすさや見た目に合わせて選びましょう。
リボン結び
リボン結びは、一般的な靴と同じ方法で結べるため、最も手軽です。
デッキシューズを頻繁に脱ぎ履きする場合にも向いています。
革紐は布製の靴紐より硬く、表面が滑りやすい場合があるため、輪を大きくしすぎないことがポイントです。
ほどけやすい場合は、リボン結びをしたあとに輪同士をもう一度結ぶ二重結びにすると安定しやすくなります。
バレルノット
バレルノットは、革紐の先端を輪のように巻き上げてまとめる結び方です。
デッキシューズらしい見た目に仕上がり、長く余った革紐をコンパクトに収納できます。
歩いているときに紐の先端が地面へ触れにくくなることもメリットです。
ただし、紐を頻繁に緩めたり締めたりする場合は、リボン結びよりも扱いにくく感じることがあります。
タッセルノット
タッセルノットは、革紐の先端を巻いて房のように見せる結び方です。
バレルノットと同様に、クラシックなデッキシューズと相性のよい結び方です。
足元に装飾的な印象を加えたい場合に適しています。
革紐が短いと作りにくいため、十分な長さが残っているか確認してから結びましょう。
参考サイト
靴紐の通し方とリボンの結び方 | 株式会社リーガルコーポレーション REGAL CORPORATION
革紐を穴へ通しにくいときの対処方法
長期間使用した革紐は、先端が広がったり柔らかくなったりして、アイレットへ通しにくくなることがあります。
無理に押し込まず、紐や靴を傷めない方法で対処してください。
革紐の先端を細く整える
革紐の先端が広がっている場合は、指で軽くねじりながら細く整えます。
強くねじりすぎると、革紐に癖が付いたり表面が剥がれたりするため注意が必要です。
アイレットへ入る部分だけを一時的に細くする程度にとどめましょう。
細い糸を使って引き込む
丈夫な糸や細いひもを革紐の先端へ結び、その糸を先に穴へ通して引っ張る方法もあります。
革紐を直接押し込むよりも、狭い穴や革製トンネルへ誘導しやすくなります。
ペンチなどで革紐を直接挟むと、表面に傷が付いたり、紐が切れたりする可能性があります。
工具を使う場合は、革紐を布などで保護してください。
レーシングニードルを使用する
360度レーシングの革紐を交換する場合は、専用のレーシングニードルを使用する方法が最も作業しやすいでしょう。
交換用の革紐とニードルがセットになった商品も販売されています。
紐の太さや形状が靴に合わないと、ニードルを使用しても通せない場合があります。
購入前に、現在の紐と近い太さであることを確認してください。
デッキシューズの革紐を交換する方法
革紐が切れた場合だけでなく、硬化やひび割れ、強い毛羽立ちが見られる場合も交換を検討しましょう。
劣化した革紐を無理に使い続けると、履いている途中で切れる可能性があります。
元の紐と同じ長さを選ぶ
交換用の革紐は、現在使用している紐と同じ長さを基準に選びます。
360度レーシング用の紐は、一般的な靴紐より長いため、通常の革靴用シューレースでは長さが足りない場合があります。
外した紐をまっすぐに伸ばして測ると、必要な長さを判断しやすくなります。
使用済みの革紐は多少伸びている場合があるため、完全に同じ数値でなくても、近い長さを選びましょう。
アイレットに合う太さを選ぶ
革紐が太すぎると、アイレットや側面のトンネルへ通りません。
反対に細すぎると、靴本体との見た目のバランスが悪くなったり、締めたときに一部分へ力が集中したりすることがあります。
現在の革紐の直径や幅を測り、できるだけ近い太さの商品を選んでください。
紐の断面形状を確認する
革紐には、丸い形状のものと平たい形状のものがあります。
同じ太さに見えても、断面形状が異なるとアイレットへの通りやすさや、完成時の見た目が変わります。
元のデザインを保ちたい場合は、素材だけでなく断面形状もそろえましょう。
ローハイド製の革紐を選ぶ
伝統的なデッキシューズには、ローハイドと呼ばれる革紐がよく使用されています。
ローハイド製の紐は、クラシックなデッキシューズらしい風合いを保ちやすいことが特徴です。
ただし、商品によって硬さ、表面加工、色合いが異なります。
メーカー純正の交換用紐が用意されている場合は、純正品を選ぶとサイズや色を合わせやすくなります。
靴本体と合う色を選ぶ
革紐の色は、靴本体と同系色にすると自然にまとまります。
ブラウンのデッキシューズには茶系、ネイビーには紺色や白色の紐が合わせやすいでしょう。
白い紐へ交換すると、マリンテイストの爽やかな印象が強くなります。
濃い色の革紐を選ぶと、落ち着いたクラシックな雰囲気に仕上がります。
デッキシューズの紐をきれいに見せるコツ
紐を正しく通していても、左右の長さやねじれが整っていないと、足元が乱れた印象になることがあります。
仕上げの段階で細かく調節しましょう。
左右の紐の長さをそろえる
結び目から出る左右の紐の長さがそろっていると、見た目が整います。
左右の長さが合わない場合でも、すべての紐を外す必要はありません。
アイレットや側面部分から少しずつ紐を送ることで調節できます。
360度レーシングの場合は、甲部分だけでなく履き口全体から少しずつ動かしてください。
結び目を甲の中央へ置く
リボン結びをする場合は、結び目が甲の中央に来るように調節します。
左右の紐を同じ強さで引き、輪の大きさもそろえるときれいに見えます。
結び目が左右へ大きくずれている場合は、紐の長さが均等になっているか確認しましょう。
紐を長く垂らしすぎない
デッキシューズは履き口が低いため、紐が長く垂れていると地面へ触れやすくなります。
紐が長すぎる場合は、二重結びやバレルノットでコンパクトにまとめてください。
余った紐を靴の中へ無理に押し込むと、足に当たって痛みや靴ずれの原因になることがあります。
デッキシューズの紐を通すときの注意点
革紐やアイレットは、強い力を加えると傷む可能性があります。
特に長期間使用したデッキシューズは、革や紐が乾燥していることがあるため、慎重に作業しましょう。
革紐を強く引っ張らない
革紐を一気に引っ張ると、表面が剥がれたり、細く伸びたりすることがあります。
古い革紐は硬化して切れやすくなっている場合もあります。
紐が動かないときは無理に力を入れず、前後へ少しずつ動かしてください。
アイレットや革製トンネルを傷めない
革紐が引っ掛かっている状態で無理に引くと、金属製アイレットが変形したり、革の穴が広がったりする可能性があります。
レーシングニードルや工具を使う場合も、靴本体へ先端を強く押し当てないようにしてください。
穴の周囲に亀裂や破れがある場合は、自分で作業せず、靴修理店へ相談するのが安全です。
左右の通し方を統一する
左右の靴で紐の交差方向や結び目が異なると、並べたときに違和感が出ます。
片方の靴を完成させてから、その靴を見本にしてもう片方を作業すると失敗を防ぎやすくなります。
革紐の表裏やねじれも、左右でそろえてください。
デッキシューズの革紐を手入れする方法
革紐を長持ちさせるためには、靴本体と同様に水分や汚れを放置しないことが大切です。
ただし、紐の素材や表面加工によって適したケア方法は異なります。
汚れは乾いた布で拭き取る
軽いほこりや表面の汚れは、乾いた柔らかい布で優しく拭き取ります。
強くこすると、革紐の表面が毛羽立ったり、色が落ちたりする場合があります。
泥が付いた場合は、完全に乾燥させてから柔らかいブラシなどで落としましょう。
ぬれた場合は自然乾燥させる
雨や水でぬれた場合は、乾いた布で水分を吸い取り、風通しのよい日陰で自然乾燥させます。
ドライヤーの熱や直射日光を当てると、革紐が急激に乾燥し、硬化やひび割れを起こす可能性があります。
ぬれた状態で強く結び直すことも避けてください。
革用クリームは慎重に使用する
革紐へのクリーム使用は、素材とメーカーのケア表示を確認してから行いましょう。
ローハイド、ワックス加工革、顔料仕上げ革など、革紐の種類によってはクリームが適さない場合があります。
クリームを塗ることで、色が濃くなったり、表面がべたついたり、靴本体へ色移りしたりする可能性があります。
使用する場合は目立たない部分で試し、布へ少量取って薄くなじませてください。
著しい硬化やひび割れがある場合は、クリームで補修するよりも新しい革紐へ交換するほうが確実です。
デッキシューズの紐に関するよくある疑問
360度レーシングは自分で交換できる?
構造が複雑でなければ、自分で交換することは可能です。
ただし、専用のレーシングニードルがないと、側面の革製トンネルへ紐を通しにくい場合があります。
作業前に写真を撮り、片方の靴を見本として残しておくと交換しやすくなります。
革製トンネルが破れている場合や、紐が内部で完全に詰まっている場合は、靴修理店へ相談しましょう。
革紐がほどけやすい場合はどうする?
革紐がほどけやすい場合は、通常のリボン結びではなく、二重結びにする方法があります。
革紐の余りが長い場合は、バレルノットでまとめる方法も適しています。
紐の表面が極端に滑る場合は、素材や太さが靴に合っていない可能性もあるため、交換を検討してください。
パラレル通しに変更しても問題ない?
アイレット数が多いデッキシューズでは、紐が平行に見えるパラレル通しも可能です。
ただし、2アイレットや3アイレットのクラシックなモデルでは、見た目の変化が小さく、締め具合を調節しにくくなる場合があります。
デッキシューズらしい見た目と調節のしやすさを重視するなら、購入時と同じクロス通しが無難です。
普通の靴紐に交換してもよい?
アイレットへ通る太さと長さであれば、コットン製や化学繊維製の靴紐へ交換できる場合があります。
布製の紐は、革紐よりも柔らかく結びやすいことがメリットです。
ただし、360度レーシングの内部へ通す場合は、素材や太さによって通りにくいことがあります。
伝統的なデッキシューズの雰囲気を保ちたい場合は、ローハイドなどの革紐が適しています。
まとめ
デッキシューズの紐は、甲部分だけに通すタイプと、履き口の周囲まで革紐が通された360度レーシングタイプがあります。
甲部分に左右のアイレットがあるモデルでは、紐を交差させるクロス通しが一般的です。
ただし、デッキシューズはメーカーやモデルによって構造が異なるため、購入時の通し方を再現するのが最も確実です。
360度レーシングの革紐を交換するときは、紐を外す前に写真を撮り、片方の靴を見本として残しておきましょう。
専用のレーシングニードルを使用すると、側面の穴や革製トンネルへ紐を通しやすくなります。
革紐を通す際は無理に引っ張らず、ねじれや左右の長さを確認しながら少しずつ作業することが大切です。
結び方は、脱ぎ履きしやすいリボン結びのほか、デッキシューズらしいバレルノットやタッセルノットも選べます。
革紐が硬化したり、ひび割れたりしている場合は、無理に再利用せず、長さや太さの合う新しい革紐へ交換しましょう。
以上、デッキシューズの紐の通し方についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

